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    2004-06-24  
    
  ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(映画)

 
  前作から1年半、又先行上映を観て来ました。
 内容に触れていますので、観た後にお読み下さいね。
  注・ルーピン先生ファンの方は読まないで下さいね。
 (間違っている箇所があると思いますが、後日訂正致します)
 
  バーノン叔父さんが覗きに来る合間を見計らい、シーツ?をテント状に被り、必死
 に術のレッスンをするハリー。3年になり、威力のある魔法が使えるようです。
  性悪なマージおばさん達の給仕をしつつ、両親を侮辱するのに我慢出来ず、すぐ
 キレてしまう。全く意に介さずに食べ続けるダドリーと共に、露骨に反抗的な態度に
 驚きました。
  夜の騎士バスは、外観はイメージ通りだけど中がハデ(笑)障害物がよけるのでは
 なくて、よけながら一般車両をくぐり抜ける、カーチェイス並みの運転には?! 
 車幅を縮めてバスの間を抜けるのも、映画オリジナルですね。ナビの縮み首(パンフ
 より)が印象的でした。
  『漏れ鍋』に到着した時に、ハリーにあれこれすすめた謎の男は一体誰だったん
 でしょう? 
 ファッジのイメージが原作と違い、事務的なのは……だからでしょうか。
  階下で聞き覚えのある声… ロンとハーマイオニーが互いのペットを牽制し合う
 シーンは、ハリーが「ハーマイオニー、それは?」「可愛いでしょう。クルックシャ
 ンクスっていうのよ」と言うだけで、ハーマイオニーが欲しかったからという描写が
 出来たのに…(結局大した活躍もなく、伏線にもならなかったから?) 
 ロンが夏休みにエジプトに行った話も数十秒、新聞の写真はほんの一瞬だったので、
 「えっ?!」と驚きました。
 双子(いきなり背が伸びている…)やジニー、一人だけ制服を着ているパーシー
 (後で首席と2度も言った傲慢さに?!)、ハリーに「教科書は?」と聞くモリー、
 「シリウスを追うな」と忠告するアーサー…
 ウィーズリー家は一応登場しますが、これで精一杯というカンジです。
  ホグワーツ特急の中で、先客のいるコンパートメントに座ったハリー達… 
 ここでハーマイオニーが「ルーピン先生よ。カバンに名前が書いてあるわ」と言うの
 ですが、実際にカバンの映像をチラッと出せば、説得力が増したと思います。
 …カバンもトランクじゃなくて、女子高生のスクールバッグのようだったし(笑)
  いきなり急停車し、窓ガラスにロンが手をあて、その周囲がみるみる凍り始める… 
 『吸魂鬼』のこのシーンはサイトで何度も観ていたので、新鮮な感動がなかったのが
 残念ですが、上手い描写です。いきなり目を開け、立ち上がって杖を構えるルーピン
 先生、ハリーが倒れる前に撃退出来たのでは…(乗っていたのは、多分護衛の為だと
 思うので余計に)
 …個人的に、ルーピン先生はロックハート以上に落胆しました。
 原作を知らずに観たら、きっと「ウラがあるキャラ」だと勘違い(注・一応映画3の
 時点で)したでしょう。善人には見えないし、スネイプ先生より大柄なんて(苦笑)
  あんな不吉な『ダブル・トラブル』で迎えられる新入生……
 ダンブルドア校長が交代となり、イメージが変わったら…と心配してましたが、ちょ
 っと若返り、パワフルで飄々とした雰囲気があって、ホッとしました。
  トレローニー先生はシワシワのおばあさん風キャラだと思っていたので、遥かに
 若く、しかも動きが機敏で、声も甲高いしで違和感がありました。
 でも、楽しんで演じているのがわかって良かったので、映画のトレローニー先生は
 こうだと考える事にします(笑)
  ボガートの授業で、スネイプ先生が女装するシーンはもっと笑えると思ったんです
 が… パーバティは『占い学』で、ラベンダーとくすくす笑って欲しかったです。
  バックビークのシーンは、前回より態度がより横柄に、暴力的になったドラコ達の
 おバカさんぶりと、バックビークに右腕を傷つけられ、女の子のように倒れる情け
 なさが何とも…… 血統しか誇れるものがないし、家に戻ればあのルシウスがいるの
 では、ストレスもたまるというものです。思わず同情してしまいました(笑)
 素早く下がった生徒達のせいで、一人前に進み出た格好になったハリー。原作は進ん
 で名乗り出たので、ここだけが違う以外はイメージ通りでした。
 ローブを着ていたハーマイオニーが、騒動の中いきなりワイシャツ姿で『逆転時計』
 が見えるシーンは、単なる伏線でしょうか?
 湖の上を低空飛行するバックビークの上で、ハリーが嬉しそうに両腕を広げるのは、
 『タイタニック』のパロディ? 悲しげな『バックビークの飛行』の音楽をバックに
 飛ぶシーンを始め、今回はホグワーツ城がよく出て来ました。
  切り裂かれた『太った婦人』を見て、生徒を大広間(って字幕じゃなかったです)
 に集めて見回るダンブルドア校長達。やっとスネイプ先生(声ですぐわかりました)
 登場です。…あんなに大きな声で会話してたら、眠りの浅い生徒は起きてしまうと
 思いますが(笑)
  ホグズミードに行けなくて、ひとり寂しそうなハリーを案じてか、双子がこっそり
 くれた『忍びの地図』… あまりにも大きくて、かさばるのにビックリ。
 てっきり、手のひら大にコンパクトに折り畳めて、カーナビのように絵の方が動いて、
 見たい地点を拡大出来るようなものだと思ってました。
  ルーピン先生に代わり、スネイプ先生が『DADA』の授業をするシーン、映画1
 の再現のようなハリーへのいやがらせ、ハーマイオニーへのイヤミ、ドラコを贔屓
 するのには懐かしいやら感激するやら(涙)…
  『三本の箒』で、ハリーだけがシリウスの事を知ってしまうシーンは、今後の展開
 を暗示する重要な部分なのに、ただ「シリウスはジェームズの親友だった」とわかっ
 ただけでした。涙ぐむハリーが即復讐を誓うのは、感情を抑えきれずに動いてしまう、
 イヤな面が増殖しているようで、ちょっと気になりました。
  死んだ筈のペテグリューが『忍びの地図』に現れ、ハリーがそれを見つけようと
 するシーン、前方から近づいてくるのに姿は見えず、すれ違った筈なのに誰もいない
 …これも思いっきり伏線?
 問いつめるスネイプ先生の背後に、いきなりルーピン先生が立っていたのには?!
 『吸魂鬼』の初登場シーンより恐かったです。
 言葉巧みにちゃっかり『忍びの地図』をまき上げる、あの強かさ(苦笑)
  レッスンをしたいと申し出るハリーが、数回でボガートの『吸魂鬼』を退けてしま
 うのは、ハリーの非凡さを表現したかったのか、時間がなかったからか…
 楽しい思い出をと言われ、両親の記憶と寂しそうに笑うハリー。『みぞの鏡』と写真
 の中でしか知らない、そんな境遇はわかってる筈だし、ハリーの辛さを察して励まし
 てくれる優しさは感じられません。日溜まりじゃなくてブリザードのよう(笑)
 だけど、それを支えにこんなスゴい魔法を使えるのだから、やり切れないです。
  クィディッチのシーンがほんの数分しかなかったので、これではセドリックやチョ
 ウは出せませんね。 
  バックビークの事で又ドラコが出てきたのですが、もしかしてハーマイオニーを
 イジメるのは…… チラッと出てきたパンジーは、パンフでは大きな写真で紹介され
 てましたが、とてもカワイイです。
  スキャバーズを狙った黒犬が、ロンごと穴の中に引きずり込むシーン、あれは
 『暴れ柳』だと思いますが、映画2では中庭にあったような…
 そういえば、ハグリッドの小屋も映画1とは全く違う場所で、かなり高低差がありま
 した。映画3は前作の設定にはこだわらないで作ったとしか… 
  『忍びの地図』を持っているハリーならともかく、ハーマイオニーに『叫びの屋敷』
 だとわかったのはフシギ。今回はセリフで説明するシーンが多いです。
  とうとう現れたシリウスに杖を向けるハリー。そこへ現れたのがルーピン先生… 
 その後、2人が嬉しそうに抱き合うのにはビックリ。…つまり、この時再会したと
 推測したのですが、ルーピン先生がホグワーツにいると驚かないのはなぜ?
 ホグワーツ内を一通り調べたから? 人狼の間、ここにいるのを見たから?
 だったら、もっと早く接触して、ルーピン先生に協力してもらえば…(あ、シリウス
 ってそういうキャラじゃないですね(笑))
 確かに、『忍びの地図』でワームテールが生きていると知り、後を追って来たのなら、
 過去の入り組んだ説明を省けるからラクですが、シリウスはなぜ脱獄したのか(新聞
 の伏線が一切ない)、スネイプ先生がなぜ、誰に対して恨んでいるのかが全然わかり
 ません。
 ルーピン先生が、登場の度にどんどん黒くなっていくのは気のせいでしょうか(笑)
  頭の中が混乱し始めた時、唐突に現れたスネイプ先生…
 ……映画2に続き、又もや原作無視で悲しいです。ハリーの透明マントで立ち聞き
 してて、ドギモを抜くって見せ場なのに(泣)……
 前述のように説明がないので、「復讐は蜜より甘い」ってセリフが生きないし、まる
 でルーピン先生に恨みがあるみたい…(もしかしてそうとか?!)
 2人でワームテールを元の姿に戻せるとは思わなかったので?!
 ハーマイオニーは『DADA』の授業で、アニメーガスは意志だと言っていたので、
 何か心理的に突く術なんでしょうか?(ここは今でも引っかかってます) 
  ハリーにイヤミを言っても、邪険に吹っ飛ばされても「ハリー、ここにいたのか」
 (うろ覚えだけど、ポッターじゃない!です)と、ちゃんと3人を庇ってるし…
 スネイプ先生の行動に一貫性がないのは、都合のいい場面だけを取り上げてつないで
 いるからです。『脱狼薬』をスネイプ先生に作ってもらい、それを飲めば満月でも
 大丈夫という説明もないので、いきなり「薬は飲んだのか?」と聞かれても……
 人狼のルーピン先生は、『赤ずきん』に出てくるおばあさんみたいで滑稽でした。
 …ここまで期待を裏切ってくれると、あきらめもつくというものです(哀笑)  
 ワームテールは原作では大キライなキャラなのに、猫なで声で取り入る図々しさ、
 逃げる時の笑顔と、それはもうハマっていて憎らしい程の名演技で、妙に感心して
 しまいました。
 …全く緊迫感のない護送シーンと、雲間からの満月をぼーっと見てたルーピン先生。
 ワームテールが一枚上じゃなくて、こっちがおマヌケだというのがよくわかりました。
 あれじゃ逃げられても、罪を着せられても仕方ないです(笑)
  
  『逆転時計』で過去に戻り、シリウスとバックビークを助け出すシーン… もしか
 したら、ここを一番描きたかったのかと思う位、長く感じました。丁度再放送を見て
 いるようで、2人が走るシーン(殆どロングなのは監督の好み?)ばかりで、余計に
 単調に感じたのかもしれませんが、もっと端折れたのでは…
  映画3のメインは、ジェームズとシリウス達の関係と、スネイプ先生との確執だと
 思うのに描かないなんて… ここが観たかったのではありません(涙)
  ラスト、バックビークの羽と共に送られてきたファイアボルトで、シリウスが無事
 に逃げおおせた事がわかりますが、あれが『美人箒』?!……
 「ああ終わった…」という気持ちになれないまま、唐突にエンドロールでした。
 
  …監督が変われば印象が変わると思いましたが、子供向けに作っている限り、こう
 なのかというのが正直な感想です。
  ルーピン先生は得体が知れず、スネイプ先生に対しても感謝どころか優位に立って
 るし(伏線でしょうか…)、『忍びの地図』でハリーを諫めず、ピシャリと叱ってる
 し…… ミバがコワイのと、ゲストキャラでないのは辛いです。…こちらがシリウス
 役で、シリウス役がルーピン先生の方がしっくりくるんですが……(ファンの方済み
 ません…)
 リリーの事を「いつも味方だった。人の美点を見つけて誉めてくれた」と、原作には
 ないセリフで好意を示すのに、ジェームズは付け足しというカンジでした。
 (引っかかる点その2)
 何より驚いたのが、ルーピン先生が生徒の頃に人狼で、ダンブルドア先生のはからい
 で入学し、『暴れ柳』を植えたいきさつと、シリウスが『秘密の守人』にならなかっ
 た=裏切り、4人の関係、スネイプ先生との確執の説明が一切なかった事です。
 『忍びの地図』を4人が作ったのも、アニメーガス名もわからずじまいで、ルーピン
 先生はただ辞めるから、置いて行ったカンジでした。
 描く余裕がなかったからか、ロンとハーマイオニーが不仲って雰囲気が殆ど感じられ
 なかったし、『吸魂鬼』、いくら何でも数多すぎです(笑)
 あれだけ吸われたハリーとシリウスがケロッとしているのは、山ほどチョコを食べた 
 んでしょうか。ロンの「一生楽しい気持ちになれないと思った」というセリフは何だ
 っだのか…
  地味なホグワーツだから原色が映えるし、彩りになった前の制服が好きなので、
 どんよりカラーの新制服も、だらしない生徒達の着方もイヤです(笑)
 ハリーはダブダブの服じゃないし(買ってもらえるわけがない)、コスチュームデザ
 インはどんどん妙に… スネイプ先生のローブ以外は変わらなかったのが、唯一救い
 でした。映画4はパーティーのシーンもあるし、どうなるのか心配です。 
  脱走直後、冒頭でハリーの前に現れたシリウス(犬)は、どうやってここにいると
 知ったんでしょうか?(原作1でハグリッドに聞いたとか?)
  海外の感想で「本の方が面白い」とありましたが、同感です。
 ローリングさんが「6巻の内容を予言するようなシーンが2つあって驚いた」「原作
 に忠実に作らないで」と言ったそうですが、だったら省いた箇所は大して重要じゃ
 ないのか、ルーピン先生が実は…なのか(笑) 映画3のイメージは「崩し」です。

 『暴れ柳』で四季を表現し、『吸魂鬼』が通り過ぎる時に花が凍る(腐るのかと思っ
 てました(笑))シーンや、ハグリッドの小屋で石が飛んできたり、狼の鳴き声が
 したりと、ちゃんと辻褄が合うように作られていて良かったです。
 …凝ったセットや素晴らしいCGや音楽があり、俳優さん達は皆熱演しているし、
 笑える箇所もたくさんあったので、決してつまらなかったと言っているのではありま
 せん。子供にもわかりやすいし、動きも映像もハデで、原作を知らない方がかえって
 楽しめます。別物と「割り切れれ」ば、面白い作品だと思います。