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    2004-11-23  
    
  バーティミアス02 ゴーレムの眼
             理論社|ハードカバー
              著者|ジョナサン・ストラウド

 
  未読の方でも詳細は伏せてありますので、宜しければお読み下さいね。
  バーティミアス3部作の第2部です。
  第1部は映画制作中・2005公開予定です。
 
   かつてバーティミアスが守ろうとしたプラハ軍を陥落させたのは、ナサニ
  エルが憧れる最強の魔術師、グラッドストーン率いる英国軍だった…

    14歳のナサニエルは史上最年少で国家保安庁の職員となっていたが、周囲
  は異例の出世を快く思わない者ばかりだった。  
  上司タローは、最近反政府運動の顕著な『レジスタンス団』の探索を命じる。
  強力な魔術用品を盗んでは破壊活動を繰り返し、魔術師が支配するこの社会
  を転覆させるつもりらしい。
  かつてリーダーと接触した事があるナサニエルは、フェリオットを潜入させ  
  るが上手く行かず、今までとは全く違うタイプの事件が起きる。
   犯人の手がかりはなく、このままでは…と、ナサニエルは又もやバーティ
  ミアスを召喚する。バーティミアスは、これはプラハで見たゴーレムの仕業
  だと言う。
   なぜキティが『レジスタンス団』になったのかが判明し、ナサニエルと
  バーティミアスは敵として出会う事になるのだが──
 
   第1部より厚く、第3部への伏線という間の巻です。
    発売日午前中に本屋さんで買い、一気読みしました(笑)
  前作が単純でスピーディーな展開だったので、読み始めると「?!」…
  雰囲気はかなりダークに、キャラの描写はより複雑・具体的になっています。
  ただ、読みづらいとか、途中で混乱する事はなく、3部作としての全体的な
  構成(傾向)?もわかり、とても面白かったです。
 
   以下は内容に触れていますので、読後にお読み下さいね。

   私は暗黒面支持派(笑)ですが、ナサニエルのように自分の才能を過信し、
  傲慢さを謙虚(じゃない(笑))に振る舞えば隠せると勘違いし、ボロが
  出て自滅するタイプはキライです。
  目一杯虚勢張ってるとしても、14のクセにジジむさくてダッサい服のセンス
    も、身分をひけらかして威圧する根性も、あまりにロコツに超特急暗黒面
  行き…
  良識ある友達も、守ってくれる大人もいないのでは、こうなっても仕方が
  ないけど… 
  唯一、バーティミアス(保護者のよう(笑))の言葉が正論なんて皮肉です。
  ほんの少ーーしだけ良心が残っているようですが、もう第3部はバリバリ
  暗黒面でしょう。潔く(後略)…
  
   それに引き替え、バーティミアスの人間臭さ…いえ、性格の憎めない事と
  いったら(笑)再会のシーンや、服装をけなすシーン、キティに座れとすす
  めるシーンは大爆笑で、思わず映像が浮かびました。 
  …努力してもジン以上にはなれず(レベルアップは不可能)、魔術師には
  逆らえない。こういった実力差、閉塞感をカラ威張りや口の悪さで憂さ晴ら
  ししている… つい弱音を吐き(意外!)、境遇の似ているキティが同情し、
  滅多に抱かない感情を自覚するバーティミアス… 
  認めないだろうけど、ナサニエル達魔術師が失った良心(生き抜く為の知恵
  かも…)や優しい面も持っているんですね。ただ痛快だった第1部と違い、
  ますます魅力的です。
  ヤコブの遠隔操作的?復讐はなるほどと感心しました。こういうエピソード
  があると、重苦しいストーリーでも印象がかなり違います。
   驚いたのは、『レジスタンス団』がチャチで、とても国家転覆なんてムリ
  だとわかった事です。単なる墓泥棒に成り下がった、自分や仲間に落胆し、
  バーティミアスの言葉を「信じて」残るキティ…
  キティがバーティミアスと組んで、アミュレットと杖を手に(した?)ナサ
  ニエルをやっつける…(どうやって(笑))なんて、あり得ない展開を期待
  してしまいます。
  
   次作は2005-11 発刊予定だそうです。
  どんな結末を迎えるのか、今から楽しみですが、全く情報のない映画化に、
  一抹の不安が…(バーティミアスはCG?だからいいけど(笑))