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粗筋と大雑把な感想

                        
    『ダークホルムの闇の君』の続編ですが、別作品として読めます。
  
   チェズニー氏の巡礼が廃止されて8年がたった。
  魔術師大学の総長ケリーダは大学を去り、後に残った若手ばかりの魔術師委員会の
  運営による赤字は、毎年増加する一方だった。
   学費値上げで生徒も激減したが、委員長のコーコランは新入生の名簿を見て、
  寄付金を無心する手紙を全員の親元へと送らせた。
  …だが、それが大学を大混乱に陥れる結果になろうとは…
  北の王国の皇太子ルーキン、東の首長国のフェリム、南の皇帝の妹クラウディア、
  謎の美少女オルガ、ドワーフのラスキン、そしてダークの娘であるグリフィンの
  エルダは、ウェルマハト魔術師の授業を機に意気投合し、次々と起こる事件を
  協力して解決して行く。

                      
   続編というので、あまり期待せずに読み始めたら…
  最初のメインキャラ6人の紹介辺りから引き込まれました。
  視点が目まぐるしく入れ替わり、話があちこち飛ぶのは『魔法使いはだれだ』に
  似ていますが、舞台が大学のせいか、キャラも年齢が高い?分魅力が増していて、
    大人が楽しめるFTです。
  魔法や術も変わってるし、キャラの悩みや周辺等、エピソードが豊富で、1P内に
  「よくこんなに詰め込める」と思うほど濃いです。
  人間以上に可愛くて女の子らしいグリフィンのエルダをはじめ、大学の経営難が
  実は…とか、解決に乗り出す…達とか、どのキャラも元気に走り回ってます。
   問題→解決が果てしなく繰り返されますが、迷ったり混乱したりしません。
  伏線も実に巧みで、思いつくままどんどん書き進んでいるような文章なのに、矛盾
  やムリがないし、左手の残りページが数oになる段階から、すいすいとラストに
  向かう爽快さ、タイトルの意味もちゃんと織り込まれていて、ぴたっと終わるのは
  流石ジョーンズさんです。