ざらざらしたグレーの画面で、「もしかして始まった?」と思った直後に
タイトルが。今までの金・銀ロゴと違います。
空から俯瞰でハリーの住む町、今度はダーズリー家ではなく、郊外らしき
畑、そして映画3で出てきた?遊具のある小さな公園。
ニュースの音声で暑さを告げる(35℃だったか…)割には、猛暑って雰囲気
はまるでない(苦笑)上、「ハリーが新聞を探している」描写には見えませ
ん。
…ハリーがブランコに座っていると、そこへ久々の登場ダドリーとその悪友
達。悪夢にうなされているとからかわれ、あわや…という時、にわかに空が
曇り、物凄い風が。ハリーの仕業と思いこんだ悪友達は退散、何かに追われ、
道路下の通路(トンネル)に駆け込んだ2人はいきなり吸魂鬼に!
…吸魂鬼がマイナーチェンジ…いえ、以前はウエットタイプ→乾燥タイプに
見えました(笑)
ハリーが守護霊を出して退散させ、初登場のフィッグおばさんが実は…と
わかった所でダーズリー家へ。
ペチュニアおばさんはミニのワンピース?!、おじさんは前より又大きくなっ
たような…… ハリーの仕業と言いつつも、それ以上追求せずに病院へ。
ペチュニアおばさんが、吸魂鬼の事を知っていたエピソードはなし。
だからこの程度で終わりとしても、空々しいというか一応入れたというか、
今までのダーズリー家じゃないみたい…(手紙の声はアンブリッジ?)
自室で苛立ち、セドリックの悪夢の事で悩む(話の上では、夏休みだから
映画4から数週間位?)ハリー。そこへいきなり現れたのは不死鳥の騎士団
のメンバー達。
トンクス、キングズリー、ムーディ、ルーピン、バンス、計5名です。
トンクス… もっと若くて(失礼)、今風のお姉さんかと思ってました(笑)
どうやら別の所に行く為に、自分を迎えに来たらしい…程度で、ムーディが
合図すると、箒が手元に。後はロンドンの夜景の中を飛び、あっという間に
目的地へ。人目を避けて上空どころか、川面スレスレの超低空飛行。
追っ手を警戒するとか、危険な護衛という雰囲気は全くありません(笑)
…入り口は狭いけど、映画4のテントみたいに中は広いのかと思ったら、
通路も部屋も縦長で狭いのにビックリ。
ブラック家って名門でお屋敷の筈なのに、こんなに狭いの?!と驚きつつ、
屋敷しもべ妖精の首と、シリウス母の肖像画が出てこないのに「?」。
モリーに言われた通りに2階に上がり、ドアを開けたハリーを出迎えたのは、
ハーマイオニーとロン。
「ここは不死鳥の騎士団の本拠地」と言う2人に、手紙で情報をくれなかっ
た事を非難するハリー。(冒頭で探しているように見えないから、セリフが
理解しづらい)
いつもの再会ではない、ぎくしゃくしたカンジは伝わってきました。
そこへいきなり現れた双子。(多分『姿現わし』が出来るという事)
食事時にすべて話そうとするシリウスを制すモリー。この辺りは原作を知っ
ている前提なのか、アーサーと2人で『魔法省』に行くシーンも、早送りで
見ているようにどんどん進み、裁判のシーンでアンブリッジ登場。
犬になって駅に来たシリウスがハリーと少し話すシーンで、騎士団のメン
バーの写真を渡すのはオリジナルですが、いいエピソードだと思いました。
(ハリーが「両親もメンバーだったんだ」と驚かないけど(笑))
映画3では馬車だったのに、いきなり囲いなしの荷車風になってます(笑)
原作では「身近に死を体験した人に見える」と思っていたので、両親の死を
見た筈のハリーがなぜ今? 両親の死は1歳の時で、あまり覚えていないと
いう事でしょうか?
ルーナは変人だけど、原作よりも美少女というカンジで、話し方や声量も
つかみ所がないフシギキャラで、適役だと思いました。
ネビルのサボテンは小道具だけど、ちゃんと動いてました(笑)
新教師アンブリッジは紹介されてもいないのに、ダンブルドア先生の前に
しゃしゃり出て来て挨拶。
…ミバというより表情・視線かもしれませんが、原作の憎たらしさは殆ど
なく、動きもきびきびしていて、むしろコミカルなカンジすらしました。
笑い方や話し方はいいんですが、黒さが感じられませんでした。
黒い羽ペンの書き取りは、アンブリッジの陰険さを端的に現したエピソー
ドですが、予想より大人しい描写(笑)で、ハリーの後ろでほくそえむ所が
もたついてました。
いつも顔全体を映すより、唇の端とか横顔とか逆光とか、一部分を強調する
方が、らしかったのでは… ミスキャストとは思わないけど、この人でなく
ては!という気はしませんでした。
ハリーが2人に対してわだかまりがあるのはともかく、昨年はチャンピオ
ンになったらあんなに持ち上げておいて、今年はウソつきと蔑視する生徒達。
…同じ寮で5年もいれば常日頃の言動で、どんな性格かわかりそうなもの
です。青春ドラマみたいに「僕達は何があっても味方だからね!」なんて
キラキラされても困るけど(笑)、シェーマス達って……
ロンがハリーを擁護するのは、気まずさ故と取られかねないタイミング。
『日刊予言者新聞』を鵜呑みにする人が多い(他に情報が殆どない)とか、
意図的に事実をねじ曲げるとか、自分達が正しい・騙せると思っている傲慢
さ。ネットがない時代の日本のマスコミみたいで、苦笑してしまいました。
シリウスがトリオに語りかけるシーンは、消し炭が話していた前回と違い
ますね(笑)
これが多分ヒントになって、DA結成となる… そんな描写だと思いますが、
ホグズミードが俯瞰(好きなのか(笑))で、果たして何人集まるだろうか
…次のシーンで参加者集合。次々と入ってくるシーンをカットすると、ただ
「こんなに集まった」と、観ている者への説明で終わってしまう気が…
「単なる好奇心なら×」とハリーがまず釘を刺し、半信半疑の沈黙を破った
のは、ルーナの「守護霊出せるんでしょ?」(大意)の一言。
空気を読み、ハリーを助けてくれる(多分無自覚)のは良かったです。
ネビルが偶然『必要の部屋』を見つけ、訓練に励むシーンと、それを察知
して潰そうとするフィルチ達。アンブリッジの教育令が壁に打ち付けられる
=それだけ締め付けが厳しいという事だろうけど、このシーン多すぎ(笑)
クリスマス休暇でブラック家に戻っても、家系図の説明は殆どなし。
…って、映画7で困りそうな気がする……
チョウがセドリックとハリーへの想い、『魔法省』勤務の親の失業危機を
ハーマイオニーのセリフで伏線としたり、アンブリッジが『真実薬』で聞き
出した等、どうなったかわかるけど、間接的な表現が多いです。
ハグリッドの弟も出てきて、(なんとなくダイダラボッチのよう(笑))
ハーマイオニーの言う事はわかるんですね。あのベルで呼ぶのかと思ったら、
違いました(笑)
悪夢でアーサーが重傷を負うシーンを「ヴォルデモートの視点」で見て
しまった… 猶予がないと判断したダンブルドア先生は、スネイプ先生に
『閉心術』を教えるように頼みます。…杖だけで?(ペンシーブは?)
久々にジェームズの悪口+イヤミで、必要最低限の指導しかしない辺りは、
流石というカンジ。ヴォルデモートの戦い方も教えてくれるし(笑)
楽しみにしていたジェームズ達の過去…あ、スネイプ先生の若い頃役の人、
ジェームズってヤなヤツ、ええとリリーはどこに……で、多分十数秒。
それでレッスンは終わり………ええっ?! 過去のシーンはこれだけ?!………
ハリーがスネイプ先生に伝言し、ハーマイオニーが機転を利かせてアンブ
リッジを森に誘い、セストラルでロンドンまで飛ぶ… ここもすっごく早く、
神秘部まですんなり入れてしまうから、全然ハラハラしません(笑)
ハリーの予言の水晶玉を見つけたネビル。ハリーが手に取ると、それが
予言を話し出す…けど、側にいる他の人には聞こえない?
ルシウスに渡した途端、輝きが消えたのはわかりやすかったですが、原作で
「俺様はさわれない」んだから、持ち帰っても聞けないのでは?
アーチはベールがかかっているというより、中がゆらめいている空間で、
予想と違いました。
(部屋の中央にあり、一周出来て、ベールが揺れている… そんなカンジ)
囁く声がする=ハリー以外にルーナだけが聴こえるで終わり。
ベラトリックスは原作のイメージ通り。話し方も声色も上手いし、表情も
豊かで残忍さや狡さもある、正に悪役。(何となくF原N香さん似(笑))
シリウスが戦いの最中に「ジェームズ」と言ってしまい、ハリーが一瞬驚い
たように見えたのは、あえて入れたエピソードなんでしょうか。
(個人的に、シリウスは罪悪感から、ハリーとジェームズを重ねて見ている
と解釈してます)
せっかくの戦闘シーンなのに、シリウスはベラトリックスに油断した所を
つかれ、倒れる(そのままの表情で)…と、あまりにもあっけなかったので、
又驚きました。
ルーピンが止める時もセリフはないし、クライマックスにしては…と思った
後、ダンブルドア先生とヴォルデモートの一騎打ち。
闇の帝王も、かつての教え子。「トム」と呼びかけながら、年齢のハンデは
あるにせよ、ちょっと優勢な展開に。
騎士団の戦うシーンは前座?!(『指輪物語2』みたいな既視感(笑))と
思う程、ハデで迫力がありました。
原作未読だと、どうせならヴォルデモートを倒せばいいのに…と思うかも
しれませんね(笑)
『閉心術』をマスター出来ず、心を支配されながらもハリーは反撃。
怒りと憎しみ、恐怖で戦ってきたハリーが、初めてヴォルデモートに対して、
それ以外の感情を持った。(愛や友情を知らない、哀れなヤツだと思った)
ラストで校長室のエピソードとして語られる所を、自覚するように変えた
んですね。それは仕方ないとしても、予言の細かい説明とか、ハリーの秘密
は「どちらか一人しか生きられない」だけでネビルは?とか、カットし過ぎ
だと思うし、湖のほとりでシリウスを思い出すエピソードは、是非入れて
欲しかったです。
貼り紙をするルーナが「失われた物は戻ってくる」と言い、天井付近の
スニーカーが映る。何かの伏線でしょうか。
いじめられても変人扱いされても、意に介さないルーナ。
ルーナを「可哀想」だと思うハリー(映画では表現し辛いけど)。
ロンもハリーを信じるとキッパリ言い切って庇ってくれたし、ハーマイオ
ニーは優等生止めて反抗期(笑)。トリオもしっかり成長してました。
エンドロールは劇中のサントラで、今回もジョン・ウイリアムズではない
のが残念でした。(4みたいに歌はないから、サントラ買います(笑))
…エンドロールを見ながら考えてました。
原作5は一番重いし、暗いエピソードばかり。
予想以上に良かった映画4と、単純に比較は出来ません。
大筋は押さえてあって、場面の切り替わりは早いけど、ついてゆける程度
だし、キャラの描写も丁寧です。
(ネビルってあんまり好きじゃなかったんですが、今回健気に頑張る姿と、
ハリーにだけ秘密を打ち明ける(ハリーへの信頼)等、好感度アップ(笑))
オリジナルエピソードも違和感がなかったです。ラストも珍しく、落ち着い
た終わり方でした。
なのに、このもやもや感は一体?……
こうやって感想を書いたら、答えが出ました。
カット=エピソードそのもの・キャラや設定をばっさりカット。
「粗筋を理解する程度に削ぎ落とす」カット。この2種類あると思います。
カットするのは、勿論時間内に収める為です。
騎士団メンバーが迎えに来る。ハリーがドアを開ける。階下に人影。
「両親に似ているね」と言われる。
原作通りにやっても、時間的に殆ど同じだと思います。
(ルーピンとの再会は嬉しくないんですね(苦笑))
ブラック家の家系図のシーンはなんだかのんびりしていて、ドラコやトン
クス、モリーの説明を入れても良かったと思います。
湖のシーンや鏡に呼びかける切ないシーンがないから、駅のエピソードも
生きないし、ハリーの寂しさや悲しみも伝わってきません。
こういう「その程度削るんなら違いはない」箇所があまりにも多いから、
原作を知っているせいで「時間的に入れられるのに…」と、不満が残って
しまう… もやもや感の原因はこれです。
今回、ローリングさんから「7巻で重要な役で出るから、外さない方が
いい」とアドバイスがあり、復活させたキャラがいたそうです。
それは誰なのか?
これから解読する原書7で、予想が当たるかどうか(笑)
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