|2011-03-01| 特別展 運慶−中世密教と鎌倉幕府 |県立金沢文庫|
県立金沢文庫80周年記念として開催されました。
著名な割には運慶の真作は数える程だそうで、今回円成寺の大日如来(デビュー作)
と中期、2008年にオークションで落札された三躰が揃うと知り、観に行きました。
◈◈最寄りの駅は京急本線・金沢文庫です。
徒歩で10分弱、閑静な住宅街の中にあります。
北条氏縁の称名寺(しょうみょうじ)の隣です。
これが目印です。この手前を左折すると、県立金沢文庫の裏に出ます。
仁王像は作者不詳だそうです。(運慶説、個人的には違うと思います(笑))
左横を過ぎて左折すると、橋が見えます。
橋を渡り、ぐるりと歩いてこちら側へ来た所です。
お堂の中は真っ暗で、閉められた扉から覗いても何も見えません…
案内板が出ています。
トンネル内部には安藤広重の浮世絵(金沢八景)があります。
トンネルの奥が県立金沢文庫の入り口です。
入り口は左手、会場は2階です。
◈◈円成寺の大日如来。
20代の作とされ、若々しく、初初しい雰囲気がありながらも、既に運慶の特徴が
出ています。ミケランジェロの『ピエタ』を思い出しました。
3躰の中で一番好きです。
円成寺ではお堂の中、しかも華美な装飾とガラスで覆われているそうで、こちら
の方が間近でじっくりと(混んでましたが(笑))拝観出来ました。
…画像では照明のせいで鮮明ですが、実際は薄暗いです。
◈◈2躰目の大日如来です。
厨子の細工も見事で、何度も見返してしまいました。
小さくても運慶、大きさは関係ありません。
◈◈放送時には外に出されていた大日如来は厨子の中に戻り、02−08からは3躰目の
大日如来が展示されていました。
オークション(クリスティーズ)で三越が…で、一時話題となったあの真如苑の
大日如来です。
(海外にあってもいいのではという意見もありましたが、個人的には良かったと
思います。こうして揃ったのなら尚更)
ニュースや画像で見た時は、円成寺の大日如来が年を取った(笑)みたいな印象
でしたが、想像していたものよりもかなり小さく、お顔が全然違うのに驚きまし
た。のっぺり(暴言)しているように思えたのですが、実物はとても素敵でした。
◈◈彩色が鮮やかな帝釈天像です。
ふわりとした服の質感、やや面長で威厳のある表情がいいです。
厨子と大日如来と帝釈天は、背面も拝観出来ます。
◈◈不動明王像です。
30代の作で、今にも動き出しそうです。
◈◈四天王の一人、多聞天=毘沙門天です。
目力と爪の表現が凄く、一番運慶らしい作品だと思いました。
足下の邪鬼が「うーん踏まれちゃってる」って困り顔なのがお茶目(笑)
ラファエロの背後霊…いえ、『システィーナの聖母』の天使みたいです。
◈◈称名寺で発見された大威徳明王です。
両手に乗る位の小ささですが、迫力があります。
これが晩年の作とは思えませんでした。
◈◈この右手には、大威徳明王の体内から発見された書が展示されていました。
最後に運慶の文字が… これが生の直筆…(運慶像が六波羅蜜寺にあります)
半紙より薄い和紙で、当時の製紙技術も素晴らしいです。
◈◈混んでいるとはいえ、近づけない程ではありませんでした。
ゆっくり拝観しても1時間弱ですが、デビュー作と最晩年作を比較しても、
若さ漲るパワー(野心)は貫禄となり、老いなど微塵も感じない作風だった
のが嬉しかったです。出来れば完全な状態だったら…(でも残っているだけ
でも…とちょっと複雑(苦笑))と、会場内を数往復してしまいました(笑)
直筆の文字を見つめながら、ふと運慶の目には、興福寺の阿修羅像はどう
映ったのか? タイプは違えど、仏師として何かしら感ずるものはあったの
か?…などと考えてしまいました。
双方共、作者は後世−21世紀の日本にちゃんと遺り、美術品扱いされるとは
思わなかったでしょう。再び現存する(させる国)の凄さと有り難みを痛感
しました。
実物の大きさとオーラを体感(拝観)出来て良かったです。
◈◈おまけです。
称名寺の山門に象の彫刻が…(と思ったら「貘(ばく)」だそうです)
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